起動~タスクを使ってみる

CASA にはデータ解析を行うための様々な「タスク」(コマンドと同等)が用意されています。 ここでは、CASA の起動方法や基本的な使い方を解説します。

CASA の起動

CASA を起動してみましょう。ターミナル・ウィンドウを開き、casa コマンドを実行します。

# In bash
% casa

すると、CASA のバージョン情報を含む起動メッセージと CASA のコマンドプロンプトが表示されるとともに、ログ表示用のウィンドウが新たに現れます。 CASA のタスクを実行すると、このロガー・ウィンドウに様々なメッセージが表示されます。 特にエラーメッセージ("SEVERE")が出ている場合、タスクが正常に動作せず、途中終了していることがほとんどです。 エラーメッセージの内容は問題解決の役に立ちます。一方、警告("WARN")メッセージは、単に情報を提示しているだけで動作に問題がないことも多いです。 ただし、意図しない動作になっていないかどうか、注意して見ておく必要があります。 なお、ロガーに表示されるメッセージは、casa-yyyymmdd-hhmmss.log (日付情報を含む) という名前のテキストファイルとして CASA を起動したディレクトリに自動的に保存されます。

図 1: CASA 起動画面。左が CASA を起動した直後のターミナル、右が CASA 起動時に自動的に出てくるログ表示用のウィンドウ。

タスクとパラメータ

ALMA データ (measurement set) に含まれる観測情報を表示するための listobs というタスクを例にとります。
  1. タスクを指定し、設定されているパラメータ(初期値を含む)を確認する方法
    1. パラメータ情報の取得方法には2通りあります。
      1. 初期パラメータでタスクを呼び出します
        CASA<>: default([タスクの名前])
        あるいは
        CASA<>: default [タスクの名前]
        (default だけでなく tgetinp に対しても、括弧内にタスク名を書いても、 スペースを空けてタスク名を書いても、どちらでも構いません。)
      2. 前回使用したパラメータを取得してタスクを呼び出します
        CASA<>: tget([タスクの名前])
        前回使用したパラメータは、そのディレクトリに [タスク名].last や .saved というファイル名で保存されます。tget により、そのファイルの内容が読み込まれます。
    2. パラメータを確認します
      CASA<>: inp
      直前で default や tget した際のタスクのパラメータが呼び出されます。あるいは、以下のように明示的にタスクを指定することもできます。
      CASA<>: inp([タスクの名前])

      図 2: 手順 (1), (2)の実行例。listobs のパラメータ(初期値)が表示された。

    3. パラメータを変更します
      CASA<>: [パラメータ名] = [パラメータ値]

    4. タスクを実行します
      CASA<>: go
      または
      CASA<>: go([タスクの名前])

      図 3: 手順 (3), (4)の例。listobs の実行。パラメータを指定した後、inp で念のためパラメータが正しくセットされているかを確認すると、より安全。ここでは listfile パラメータが未指定なので、実行結果はログ用のウィンドウに出力される。
      図 4: 'go' により、ログ用ウィンドウに表示された listobs タスクの出力(一部)
  2. タスク実行時にパラメータも一緒に指定する方法
    CASA<>: [タスク名]([パラメータ名1]= [パラメータ値], [パラメータ名2]= [パラメータ値], ...)
    図 5: 手順 2. の実行例。listobs の出力をロガーに表示するのではなく、listfile に指定した名前のテキストファイルに書き出す。

なお、inp のパラメータ設定画面では、デフォルトのパラメータ値は黒字、ユーザーが設定した値 (デフォルト値でないもの) は青字、 問題のある値 (存在しないファイル、取り得ない値など) は赤字で表示されます。
図 6: listobs タスクで vislistfile パラメータを指定した後の inp の出力。

図 7: 存在しないファイル名を vis に指定した場合の inp の出力。

ヘルプ

各タスクのパラメータや使い方は、以下のようにして調べることができます。 過去に開催されたワークショップの資料などに分かりやすく情報がまとめられていることもあります。 詳しくは、リンク集 (「データ解析」や「ALMAデータの見方、キャリブレーション」「EA ARC の過去のCASAチュートリアル」など) を参照してください。

タスクのリスト

使用できるタスクは tasklist, 簡単な解説付きのリストは taskhelp で確認できます。

図 8: tasklist

図 9: taskhelp

スクリプトの実行

CASA はプログラム言語 python をインターフェースとして採用しており、python の文法に従ってスクリプトを書いたり、python スクリプトを実行したりすることができます。単に CASA タスクを実行順に並べたファイルを用意し、一度に実行することも可能です。このようなスクリプトを実行するには、execfile というタスクを使用します。
CASA<>: execfile([スクリプトファイル名])

図 10: execfile の実行例

コピー&ペースト

スクリプトのごく一部や、web 上の実行例(タスクとパラメータの文字列)をコピーして、CASA ターミナルに直接貼り付けて実行することもできます。ただし、python ではインデント(字下げ)が意味を持ちますので、コピー&ペーストの際にインデントが崩れてしまわないよう、注意が必要です。タスク cpaste を用いれば、コピー&ペーストがやりやすくなります。cpaste を実行し、コピーした文字列を貼り付けて、最後に "--" (ハイフン 2 つ)を入力して [Return] すると、貼り付けた部分が実行されます。

図 11: cpaste の例(このページにある clean タスクの例をコピー&ペースト)

シェルコマンドの実行

lsless などいくつかのコマンドは CASA ターミナルでもそのまま使えます。そのまま使えない場合でも、先頭に ! を付けると、シェルコマンドを実行できます。

図 12: そのままだと使えないコマンドも、先頭に ! を付けると使用できる。
また、os.system を使うこともできます。

図 13: test.ms の削除



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Last Update: 2023.09.30