観測プロポーザルに関する情報

ALMA の観測プロポーザル募集は、基本的には 1 年ごとに行われ ( 1 年を 1 サイクルと呼びます)、毎年、春に締切が設けられます。また、直前の冬にリリースされる Pre-announcement において、次のサイクルで提供予定の観測機能に関する情報が公開されますので、この情報を元に、観測提案の立案を始めることができます。プロポーザル締切約 1 ヶ月前の Call for Proposal の際に、提案に必要なツール (Observing Tool) と情報(ドキュメント)が公開されます。観測を提案しようとする人は、Call for Proposalで公開される Proposer's Guide 等を十分にご確認ください。
毎年の募集とは別に、Director’s Discretionary Time (DDT)の提案は、随時、受け付けています。

プロポーザルに関する公式文書等

観測プロポーザルに関する正確な情報については、ALMA Science Portal 上の文書をご参照ください。

補足情報

公募情報

Cycle 11の観測公募は2024 年 4 月 25 日 15:00UT (日本時間 24:00)をもちまして締め切りました。

新しい観測モード

Cycle 11 では以下のモードが利用可能になっています。
  • Full polarization in Band 1 on the 12-m Array. The polarization accuracy and capability will be the same as in Bands 3-7.
  • Band 1 on the 7-m Array for Stokes I only (no Stokes Q/U/V).
  • High-frequency and long-baseline observations with Band 9 in C-10 configuration, and Band 10 in configurations of C-9 and C-10.
  • 4x4-bit spectral mode on the 7-m Array (dual polarization). The 4x4 mode is available for the 7-m Array and allows spectral setups that are fully compatible with those of the 12-m Array.

強いプロポーザルを書くためのヒント

これまでの proposal preparation meeting 等で、審査員経験者や採択率の高いユーザーに、執筆で気をつけていることを共有していただきました。それら資料へのリンクです。


プロポーザル投稿にあたってのFAQや注意事項等

プロポーザル投稿時によく聞かれる質問への回答や、注意事項等を以下に示します。観測の中身の立案に関しては、下の「Phase 2の観点から見た、観測計画立案に対するアドバイス」をご覧ください。
同一チームからの酷似するプロポーザルの投稿は避けてください
ALMAは多様なサイエンスの提案を奨励しています。同じ研究チームが、非常に類似した科学的目標を持ちながらも、それ以外の点で若干の違いがある複数のプロポーザルを提出することは推奨されません。最近、このように非常に類似するプロポーザルの投稿が増加する傾向にあります。観測所では状況をモニターし、もしこの傾向が続くようであれば、将来的にポリシーの変更を検討する可能性があります。
Scientific Justification のフォントサイズ
Scientific Justification は、図のキャプションや参考文献リストも含めて 12 ポイント以上のフォントサイズで記述してください。Observing Tool によるフォントサイズ のチェックにより、全体の 15% 以上でフォントサイズが 12 ポイントより小さいとされた場合、Observing Tool 上でエラーが出て、投稿できません。本文でなく PDF の図に埋め込まれたフォントが小さいためにエラーが出ることもあります。その場合は図を別のフォーマット (jpeg など) にしていただくなどし、問題を回避できます (フォントサイズに関する Knowledgebase 記事へのリンク)。
詳細は、Proposer's Guide の Section 5.3.1 を参照してください。
ユーザープロファイルの更新
所属機関が変わった方、メールアドレス等が変更になった方は、Science Portalにログインして"Preference"メニューから登録情報の更新をお願いします。誤った所属機関のままでプロポーザルを提出することのないよう、十分にご注意ください。
また、Cycle 10ではLarge Program以外のプロポーザルはdistributed peer review形式で審査されます。この審査形式では提案者(PIもしくはCoI)が他のプロポーザルの審査を行います。審査のためのプロポーザルの割り当てに関係しますので、Science Portalの"Preference"メニューから"Expertise"の入力や更新をお願いします (NextボタンでExpertiseの設定画面へ移動できます。最後にConfirmタブまで移動し、Updateしてください。)。審査に関する詳しい情報は ALMA Proposal Review のページに掲載されています。
Double-anonymous review
プロポーザル審査は、提案者・グループに対するバイアスをなるべく低減し、サイエンスの評価に集中できるよう、dual-anonymous で行われます。審査員にとっては提案グループが、提案グループにとっては審査員が誰であるか分からないようにする必要があります。Science Justification の作成にあたっても、PI が誰であるかを判別できないように記述する必要があります。 書き方のガイドラインについては、こちらを参考にしてください。
Total Power (TP) Array のみの観測提案
既に 7-m Array のデータをお持ちで、short-spacing を埋めるために Total power (TP) のみの観測が必要な場合に限り、TP 単独の観測を提案することが可能です。ただし、Observing Tool (OT) では、TP のみの観測を要求することができません。そのため、OT では、7 m array と TP の提案を行い、プロポーザル内で、TP のみの観測が必要で、7-m Array による観測は必要ない (採択された場合は7-m Array 観測を descope する必要がある) ことを明記してください。
詳しくは、Proposer's Guide の Section A.3 を参照してください。
Director’s Discretionary Time (DDT) Project
DDT観測の提案は、随時、受け付けています。観測サイクルごとの年に一度の募集で不採択となった課題は、通常はDDTでは考慮されません。DDTでは受理から 12 ヶ月間、観測キューに入ります。DDTの提案についてはこちらのページをご覧ください。


Phase 2の観点から見た、観測計画立案に対するアドバイス

プロポーザルが承認されると、その観測プロジェクトはPhase 2に移行します。ALMAスタッフは、承認されたすべてのプロジェクトのスケジューリングブロック(SB)を作成し、観測キューにSBを提出します。科学的目標を達成するために、またPhase 2期間中に起こりうる問題を防ぐために、プロポーザルの準備中に以下の点を考慮されることをお勧めします。ご不明な点がありましたら、ヘルプデスク(https://help.almascience.org/)までご連絡ください。
要求解像度の範囲指定

プロポーザルで要求する解像度は、科学目的が達成できる範囲内において、一つの固定値でなく、範囲で指定されることをお勧めします。データ取得後の品質保証において、プロポーザルの要求を満たしていないとしてデータ配布が遅れるものの、PI に個別に伺うと、科学的に問題ないことが後から判明するケースがあります。設定した解像度が達成できるであろうアンテナ配列は、Observing Toolの"Control and Performance"パネルにある"Planning and Time Estimate"で確認できます。ただし、設定した解像度の範囲が長基線長の配列とコンパクト配列の両方で実現できる場合は、Observing Tool では後者が使用されることにご留意ください(ToOで解像度を指定しない場合はこの限りではありません)。

要求する解像度として単一の値、または中心の値の20%より狭い範囲を選択した場合には、指定した単一または中心の値に±20%を加えた範囲が実際の観測とデータ品質保証で適用されることになります。したがって、科学的に許容できる場合は、中心値から20%よりも広い範囲を入力することが推奨されます。例えば、科学目標を達成できるのであれば、2.3-2.7秒角の範囲ではなく、1.8-3.2秒角の範囲で解像度を指定する、といった具合です。2.3-2.7秒角の範囲指定を行うと、実際に用いられる範囲は2.0-3.0秒角となるためです。

詳しくは Proposer's Guide の "Angular resolution" の節をご覧ください。

Basebandの端を避けてspectral windowを配置する
Spectral windowがBasebandの端から30MHz以内にある場合、フラックスキャリブレーションに支障をきたしたり、Local Oscillatorシグナルのチューニングに問題が生じたりする可能性があります。最悪の場合、PIは観測が始まってから1つまたは複数のspectral windowsの取得をあきらめることになるかもしれません。これらの問題を事前に防ぐために、OTはプロポーザルのvalidationの際に、Basebandの端からspectral windowを遠ざけるようにwarningメッセージを表示します。プロポーザルを提出する前に、このようなwarningメッセージが出ないようにspectral windowsの周波数設定を調整することをお勧めします。
高周波観測の提案時の留意事項
高周波の提案を行う際は、これらのバンドに適した天候が得られそうかどうかを、あらかじめ Proposer's Guide でご確認ください。天候を予測することは難しく、年によって違いもあります。また、科学的重要性が非常に高いターゲットもあるかと思います。そのため、OT が何らかの制限を加えることはなく、どのような時期の天体も提案が可能です。しかしながら、過去の平均的な天候として、高周波の観測に向かないことが分かっている LST の範囲は、実際にも高周波の観測を実行しにくくなっていることがほとんどです。 Proposer's GuideのTable 3に"LST for best observing conditions"が記載されています。この範囲の外ではバンド7と8の観測に適した安定した大気状態の時間は限られており、また、バンド9、10の観測はこのLSTの範囲内で行われます。したがって、12mアレイでこれらのバンドの観測を立案される場合、科学目的の達成に支障がないならば、Table 3のLST範囲で観測できそうなターゲットを選ぶことをお勧めします。 観測時期の情報については、Proposer's Guideの"Scheduling considerations" の節をご参照ください。
最初の観測に対して相対的に後続の観測を設定する(time-constrained、複数回観測の課題)
例えばターゲット天体をモニターするために複数回の観測を計画する場合、科学目標の達成に支障がないならば、2回目以降の観測を最初の観測に対して相対的に設定することが推奨されます。そうしないと、いずれかの観測が実施されない場合、次の観測も同様に実施されなくなる可能性があります。
Phase 2での観測設定の変更
プロポーザルを提出する前に、観測設定を注意深く確認してください。プロポーザル受理後の(Phase 2での)大きな変更は、プロポーザルの提出後に、科学目標の達成に顕著な影響を与える追加情報が新たに得られた場合や、提出したプロポーザルに明らかな間違いがある場合、または科学的な最適化の可能性がある場合にのみ許可されると想定してください。例えば、これらの理由なく、観測実行の可能性を高めるために解像度を変更したいといった要望を認めることは、他の観測に影響を与える等の観点からも難しいです(科学目的の達成に支障がないならば、広い範囲の解像度を予め指定してプロポーザルを提出してください)。詳細は、Proposer's Guideの"Changes to submitted programs"の節をご覧ください。

その他リンク



OT の使い方 (日本語)

インストールの方法
プロポーザル審査に関する設定
使い方の概要

Last Update: 2024.05.1