連続波ポインティング測定手順書


概要

木星に対してクロススキャンを行い、望遠鏡が向くべき方向と実際に向いている方向の差(指向誤差, ポインティングエラー)を測定します。これを様々なELで繰り返し、最終的にポインティングエラーのEL依存性を知ることが目的です。ポインティングのEL依存性の測定のために、きわめて測定効率の高い光学望遠鏡を用いてすでに望遠鏡指向のモデル (basic pointing model) が得られている一方、我々が観測するのはあくまで電波です。したがって、光学軸と電波軸の差異を測定する必要があります。そこで、木星に対する電波連続波クロススキャン測定ごとに、(ズレの大きさに関わりなく)電波ポインティングエラー (Qlookに表示される AZ_ofs, EL_ofsの値) と光ポインティングエラー (iOPTの書き出す値) をそれぞれ記録しておき、両者の差を測定することで電波指向精度のモデル (instrument pointing model)を修正します。

0. 注意点

1. 測定準備

観測制御権の確保

  1. 'COSMOS Main','Ant. Console','Cont. Qlook'の制御権 (priority) を取ります。
  2. Aspirin が正常に動作していることを確認します。Aspirin monitorで各行の時刻に大きなずれがないかをチェックします。
  3. Aspirin blue (風補正) が起動していることを確認します。2010年は、試験的に aspirin blue を使用して風補正を行います。

aste-2c, 3cへのログイン (野辺山から測定の場合。2011/4/16 by Y. Shimajiri) †

tuningでaste-2c, 3cへそれぞれログインするので、2つの端末を開いてログインしておくとよい。 また、チリ大のネットワークが復活するまでは、以下のようなルートでログインする。

[localhost]$ ssh  aste-wx2
[aste-wx2]$ ssh  aste-mt2-2c
[aste-2c]$ ssh  astecal@aste-2c 

連続波バックエンドへの切り替え (観測日の最初の測定者が行います)

  1. aste-3cにおいて、スイッチボックスに指示を出し、バックエンドを連続波用のもの(検波器)に切り替えます。詳細は、[aste-unyo 3123]を参照してください *1
      astecal@aste-3c% swbox_ctl_be CONT
      change to CONT                                  # 正常であればこのメッセージが返ってくる。

検波器のキャリブレーション (観測日の最初の測定者が行います)

ここの項目は当面スキップしてください。 (01-Sep-2009 - YT)

  1. aste-3cより、R *2を入れます。
      astecal@aste-3c% mmc1_rstop
  2. aste-2cより、検波機システムのレベル調整
      astecal@aste-2c% cont_if 2 [att.]
  3. Rを抜く。
     astecal@aste-3c% mmc1_sstop

Auto Pointingは使用しません。(観測日の最初の測定者が確認します。)

  1. autopはOFF。もし動いていたらOFFにします。
     aste-2c% ps -ef | grep autopd
     astecntl 14789     1  0 11:44:35 ?        0:14 /cosmos3/aste/nro/sbin/exe_autopd
    上記はautopが動いている状態。このプロセス(exe_autopd) がある場合は全て停止(kill)して下さい。
  2. autopdプロセスが走っていなければ、次へ進みます。

連続波用クイックルック (Cont Qlook) の設定 (観測日の最初の測定者が行います)

  1. 'MANUAL'ボタンを押して、下記のように設定します。
    • 'Priority' -> 'OFF' # Prio.は ONでもOFFでも可
    • 'Integration' -> 'ON'
    • 'Pointing Integ' -> 1
    • 'Auto Pointing' -> 'OFF' autopdは使用しません
  2. 'SET'ボタンを押して反映してください。
  3. 'QLOOK'ボタンを押して開始してください。

iOPTの起動

  1. ASTE山頂の計算機にログインする(2つ)
    • (a) 測定用
      • 三鷹から
         % ssh asteobs@aste-2c
         % ssh astepon@aste-c1c
         % ********                          #ここで入力 kollama!
      • 野辺山から
         % ssh asteobs@aste-mx2 (or mt1)
         % ssh aste-2c
         % ssh astepon@aste-c1c
         % ********                          #ここで入力 kollama!
    • (b) いろいろチェック用(@aste-2c)
      • 同様に新しくターミナルを起動
         % ssh aste-2c -l astecntl  (pw: llama48)
    • ログインしたら ttt (tcshへのエイリアス)をすると後々便利。
  2. 事前チェック
    1. アンテナ位置情報ファイル書き出しプログラム(antstat)は動いているか
       aste-2c% ps -ef | grep antstat
      • 立ち上がってなければ実行・起動(アカウントは astecntl, llama48)
         aste-2c% cd  /cosmos3/aste/etc/rxr/
         aste-2c% nohup ./antstat& [return]
    2. Aspirinは動いているか(Aspirin Monitor画面)
      • 3つの時刻が更新されているか? (Timeが1分程度食い違っていてもOK)
      • Aspirin statusはOKか?
      • Refraction CorrectionはOKか
    3. OPTを操るvmeバスの初期化
       astepon@aste-c1c% cd ~/optpon (りたーん)
       astepon@aste-c1c% initvme [リターン]
       AVME-338B was initialized successfully.         # とメッセージが返ってくる
  3. iOPT_r17cの起動
    1. optpon へ移動
       astepon@aste-c1c% cd ~/optpon (りたーん)
    2. プログラムを起動
       % iOPT_r17c (りたーん)
      • optponのdirectoryにyyyymmddhhmm.tabというlogging fileが生成される。
      • このファイル名をメモして、wikiに記入。後の解析で、このファイル名を使用します。
      • ”antenna not ready”のメッセージが毎秒流れて始める。

2. 測定

指示書

手順

  1. (dAZ, dEL) = (0.0, 0.0) となっていることを確認します。
  2. 電波/光ポインティングのバッチ指示書を流します。COSMOS GUI でijppon.listを実行します。
    • 光 (8秒) → 電波 (4分) → 光 (8秒) → 電波 (4分) → 光 (8秒) → 電波 (4分) → 光 (8秒) → ... 電波 (4分) → 光 (8秒)
    • バッチ指示書は、観測者が止めないかぎり走り続けます。
    • dAZ,dELを変更していない場合でも、測定開始時にかならず (dAZ, dEL) (** (ddAZ, ddEL)ではないです **) の値をログに書き込んでください。
    • (※) 電波ポインティングの実行中に、ポインティングエラー (Qlookに表示される AZ_ofs, EL_ofs の値) が~7秒角を定常的に超えるiOPT_r17cで星の情報が書き出されない 場合は、CCDフレームから星が出ていることが考えられます。 その場合は、classicalな電波ポインティングに移行します。(たぶんこんなことはないと期待したい。。。)
      • (i) 一度観測を止めて (ddAZ, ddEL) を入力し、木星を視野中心に入れ、
      • (ii) jpx5cc3.start を流す。
      • (iii) 必ず (dAZ, dEL) を記録。
    • バッチ指示書を手動でSTOPし、jpx5cc3.start (classical radio pointing)を実行します。
  3. 恒星が昇ってから沈むまで(EL < 10 deg)これを繰り返します。
    • 最初と最後は光ポインティングで挟みます。

測定中に行うこと

3. 観測終了

  1. iOPT_r17cを強制終了します。iOPT_r17cが動作しているシェルにおいて、cntl+Cで強制終了。
  2. 望遠鏡のパークと制御権のリリースをします。アンテナを home position (AZ, EL) = (+/-180, 60) に移動させて、すべてのpriorityを解除。AZの符号は、どちらでもOK。
  3. 観測終了をaste-unyo MLに報告します。アンテナ位置 (降雪が無ければ+/-180, 60となっているはず)、priority解除、トラブル等を報告して下さい。
  4. トラブルがあった場合には、トラブルシューティング・メモのページにもトラブル内容とその対処法の記載をお願いします。
  5. 担当の方は、その日のうちにデータ解析をお願いします。(解析のページを参照)

トラブル対応

測定中に雪が降ってきた
望遠鏡をEL=10 degに傾けて、鏡面への着雪を避けます。
CONT QLookが動かない
 % ps -ef | bol
 % tail -f /log/6/mess

指示書一覧

指示書はすべて以下に置きます

目的別指示書一覧

連続波ポインティング用

天体名指示書名ソーステーブルスキャンテーブルデバイステーブル
火星mrx5cc3.startsrc_solar.Marsscn_cont.pon_x5min_caldev_astc.cats345_cont345
木星jpx5cc3.startsrc_solar.Jupiterscn_cont.pon_x5min_caldev_astc.cats345_cont345
土星stx5cc3.startsrc_solar.Saturnscn_cont.pon_x5min_caldev_astc.cats345_cont345
天王星urx5cc3.startsrc_solar.Uranusscn_cont.pon_x5min_caldev_astc.cats345_cont345

指示書構成一覧

ソーステーブル

天体名ソーステーブル
火星src_solar.Mars
木星src_solar.Jupiter
土星src_solar.Saturn
天王星src_solar.Uranus

スキャンテーブル

測定スキャンテーブル備考
副鏡位置測定---
ポインティングscn_cont.pon_x5min_cal5'クロススキャン
ビームマップscn_cont.raster2m2' x 2'ラスタースキャン
(惑星サーチ用)scn_cont.raster20m20' x 20' ラスター, 30"グリッド

デバイステーブル

測定デバイステーブル備考
副鏡位置測定--- (350GHz)350GHz
ポインティングdev_astc.cats345_cont345345GHz
ビームマップdev_astc.cats345_cont345345GHz

手順の直感的イメージ

#ref(): File not found: "radpon.jpg" at page "Observation and Analysis/SubRef/ObsManual_Pointing"


*1 受信機室内および観測棟内のswbox切り替えコマンド(swbox_ctl_be, swbox_clt_array)は、aste-3c:/home/astedev/whsf/bin/ にあります。(例 : swbox_ctl_be 1 1 2 2 )
*2 強度較正を行う際の、電波標準光源(電波吸収体=黒体)のこと。

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