研究チームは米国国立電波天文台が運用する、世界最大級のVLBI専用観測網Very Long Baseline Arrayを用いて、おとめ座Aのジェット根元を多周波相対VLBI観測しました。その結果、おとめ座Aの中心部に潜む超巨大ブラックホールの居場所を約20マイクロ秒角(1度角の1億8千万分の1)という精度で突き止めることに成功したのです。これは予想されるブラックホール直径のわずか2倍にまで迫るというかつてない精度です。
さらに、突き止めたブラックホールの居場所は43GHzで観測された見かけジェットの根元の位置から僅か0.02光年(予想されるブラックホール直径の7倍に相当)しか離れていないことがわかりました。
(画像クレジット:(左上段左)Sloan Digital Sky Suvey, (左上段右) NASA and the Hubble Heritage Team, (右、想像図)国立天文台/AND You Inc.)
ブラックホールが潜むジェットの源流へと遡る様子。左が模式図(画像クレジット:国立天文台/AND You Inc.)、右が今回の測定データ。周波数が高くなるにつれ、ジェットの「見かけの根元」が源流へとシフトしていく。この「見かけの根元がずれていく様子」を高い精度で測定することで、源流の場所を正確に突き止めることに成功しました。