革新的手法:多周波相対VLBI観測


   研究チームは今回、ジェットの噴出口に潜むブラックホールの居場所を精密に決定する方法として、多周波相対VLBIという観測手法を考案しました。

■ 吸収の壁を克服する

ジェットからのシンクロトロン放射には、高い周波数ほど透過率が良くなるという性質があります。低い周波数から高い周波数へと観測周波数を上げていくことで、密度の濃いジェットの根元をより奥へ奥へと見通すことができるようになるのです。従って、ジェットをできるだけ多くの周波数で同時に観測して吸収の壁を克服し、源流へと遡る様子を追跡することで、ついにはジェットの沸出し口に潜むブラックホールの場所を突き止めることが可能になります。

■ 「相対VLBI」による超高精度位置測定

源流へと遡る様子を「精密」に測定するためには、「相対VLBI」が最も強力な観測手段です。

相対VLBIとは、目標天体とは別の電波源を位置基準として利用し、目標天体の位置を精密に測定するVLBI観測のテクニックです。今回は、おとめ座Aから離角1.5度離れたところにある電波源M84を位置基準にしました。

以上を組み合わせた「多周波相対VLBI」を駆使することで、濃いガスによって隠されたブラックホールの居場所を精密に突き止めることができるのです。